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虐待被害者の当事者目線のエッセイマンガ。虐待の記憶がある人はコンディションの良い時に読みましょう。虐待父の表情がものすごい怖い。すごい描写力です。
エッセイ漫画の「虐待父がようやく死んだ」を読みました。
エッセイ漫画が好きで色々読みあさっているのですが、そのタイトルの強烈さに引かれての購入です。
内容は父親から虐待を受けていた作者(あらいぴろよ さん)の幼少期から家を出て結婚して出産する。そして虐待をしていた父親が亡くなるまでのエッセイ漫画です。
試し読みで何度か読んで、ハードそうな内容が読み進められるか不安だったので購入していなかったのですが、あらいさんがどのように親への気持ちと折り合いをつけていくのかが気になって購入しました。
休み休み読まないと精神持たない
内容は表紙の通りハードでした…。
父親が家では大暴れする、性的虐待にまで及ぼうとする外道なのに外面が良い…。
すごいリアルです…。あらいさんの唯一の救いは、兄弟が理解があった事でしょうか。
自分も家族に殴られて育った部分があるので、フラッシュバックして休み休み読みました。
途中自然に涙もこぼれました。
でも最後に救いがあり、親との精神的な距離をきちんとつけるあらいさんには救われました。
作者さんは色々考えていてとてもえらい
虐待経験のある方がよく考える事が「自分も子供に暴力をふるったらどうしよう」だと思いますが
あらいさんもその事に悩まされます。
しかし、親との関係を考える過程で、子供への接し方を変えて行く事ができるあらいさんは、とてもすごいと思います。
このように漫画として残したことも、心の整理をつける一助となっているのかもしれませんね。
現実は結婚して出産して、めでたしめでたしではない
過去に色々なことがあっても「結婚して出産もして、今は幸せで良かったね」と思われがちですが
あらいさんのような虐待サバイバーは出産してからも、自分が虐待をしてしまうのではないかという日々の葛藤や悩みを持つ人が多いです。
不幸な連鎖を起こさないためにも、日々色々考えながら生きていかないといけないなぁと思います。
おとぎばなしのように、結婚してめでたしめでたし、ではないのが現実の大変なところですね。
読むときのコンディションを考えて
家族から殴られたりいじめられた経験を持った方は、読むことでフラッシュバックしてしまう可能性があります。
自分のコンディションと相談して、心身ともに調子の良い時に読んだ方が良さそうです。
しかし、虐待父だけではなく、それを放置(離婚して再び戻ってきた)母親との折り合いの付け方、距離の取り方はとても参考になる本でした。
キャラクターの表情が本当にすごく、特に「怒り」の表情が鬼気迫る感じです。
「自分を殴っていた家族もこんな顔してたなー」と思ってしまいましたよ!
そして、それを思い出して親に殺意を持つときの、あらいさんの表情も、これまたリアルです。
こんな顔して私もギリギリしてたなー…すごい再現度…と思いました。
気楽に読めるエッセイ漫画ではありませんが、絵も上手で参考になるところが多い本でした。