(4/5)
見終わった後にもいろいろ楽しめる韓国ホラーミステリー
普段ハリウッド系映画ばかり見ている私ですが、友人から「あっとろさんにぜひ見てほしい!」と言われて、「哭声/コクソン」って韓国映画を見ました。
色々と解釈ができて面白い映画だったので考察とか感想を書いてみます。
コクソンのジャンル。どんな映画?
ホラーとみせかけてミステリーとみせかけてホラー。ちょっとコメディという感じでしょうか。
最初の方の日本の昔の田園風景を思わせるじっとりした雰囲気は、往年の角川ホラーを思い出させてドキドキします。
序盤は、怖くて一人で見ているのが嫌になるくらいでしたが、中盤くらいからは続きが気になってグイグイと見れてしまいます。
この映画の面白いところは、日本人(國村隼さん)が出てくるところでしょうか。
それも最重要人物として。
日本人のセリフはすべて日本語です。
韓国人から見た日本人はこんな感じか、という新鮮な驚きがありますね。
コクソンを普通に見れば、韓国の農村を舞台とした、ヨソ者や呪術が絡んだジットリしたホラーといった印象でしょうか。
私はコクソンを見終わったあと、ポカーンとして祈祷師、日本人、謎の女、そして一連の事件はなんだったのか
サーッパリ分かりませんでした。
他の方の感想を見ても、そんな感じが多いようで。
しかし、考察などを見て何となくこんな感じではなかったのか、と思い考察など書いてみます。
見てない方はアマゾンプライムビデオで見れますので、いますぐ見てください!
https://www.amazon.co.jp/dp/B073ZMPTZX/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_2RFABbQW192VG
以下ネタバレ注意です!
キリスト教的考察
冒頭から聖書の『ルカによる福音書 第24章』が出てきます。
http://web1.kcn.jp/tombo/v2/LUKE24.html
わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ
このセリフは日本人のセリフとしてそのまま出てきますね。
この映画はキリスト教的思想に基づいた映画だったようです。
農村とキリスト教、一見結びつかないような要素で初見ではサッパリ気付きませんでした。
分かりやすすぎるモチーフが出ていたのに!
韓国はキリスト教徒が多く、キリスト教の知識は日本人よりずっとあるという前提で作られていると思います。
私の考察、日本人、祈祷師、謎の女の正体とは
この映画のキーは誰が「良い者」なのか、誰が「悪魔」なのか、という所ではないでしょうか。
そしてパッケージにも映っている「日本人」「祈祷師」「謎の白い服の女」の正体が核心部分ではないかと思います。
結論から言いますと、主人公はキリスト教的な神による「試練」を与えられている。
そんな筋書きだったのではないでしょうか。
日本人の正体
日本人は、映画の最後で明示されたようにキリストでしょう。
日本人は主人公に家を破壊され、犬を殺されても無抵抗です。
ただ運命を受け入れ、問いかけるのみ。
祈祷師の正体
祈祷師はどうでしょうか。
主人公は「祈祷師は日本人とグルだ」と謎の女に言われます。
実際に写真を撮っていて、怪しさ爆発です。
謎の女の前に出ると、急に弱くなり盛大に吐いてしまいます。
謎の女>祈祷師 という力関係なのです。
祈祷師の言う事は全て間違っていました。
主人公に日本人を殺すように誘導したのも祈祷師です。
祈祷師は主人公に「罪を犯させよう」と誘導します。
まさに悪魔のささやき。
つまり祈祷師は悪魔なのではないか、と私は思うのです。
悪魔は試練を与える存在です。
白い服の謎の女の正体
そして、白い服の謎の女です。
この女性は「神」なのかと最初思ったのですが、「娘の父親が罪を犯したから」と言います。
そして、神ほど絶対的な存在とも思えません。
罪とは日本人を殺したことでしょう。
祈祷師を悪魔とすると、この女性は「天使」なのではないでしょうか。
白い服を着ている所も象徴的です。
そして祈祷師が悪魔であるとしたら、悪魔が全然叶わないのも納得がいきます。
「祈祷師と日本人がグル」
これは、悪魔は試練を与える存在として、神(キリスト)の手の上で使われる存在。
それを表しているのではないでしょうか。
天使もまた人間に試練を与える存在です。
悪魔の誘惑に打ち勝ち、ニワトリが3回鳴くまで待つという試練を与えます。
しかし主人公はその試練にも打ち勝つことはできず、悪魔の助言を信じて家の中に入ってしまいます。
コクソンの事件はいったい何だったのか
さて、一連の事件はいったい何だったのでしょうか。
それはおそらく、キリスト教の「最後の審判」ではないかと思います。
死者が蘇り、神により裁かれ天国か地獄に振り分けられるのです。
悪魔の誘惑に勝てなかった主人公は残念ながら地獄へ行くというラストなのではないでしょうか。
この考察が当たっているかは、不明ではありますが
一感想として見て頂ければと思います。